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皆さんこんにちは!
ES保信株式会社、更新担当の中西です。
適切な基礎形式の判断は、地盤が何者かを知ることから始まります。日本は火山灰、沖積砂、粘土、埋立て、盛土…と土地の履歴が多様。調査を“儀式”で終わらせず、設計に生かす読み取りが肝心です。ここでは代表的な調査方法と、結果の“活かし方”を実務目線でまとめます。📑
代表的な調査方法
1. スウェーデン式サウンディング(SWS)
o 小規模で一般的。ロッド先端にスクリューを付け、荷重と回転数で貫入抵抗(換算N値)を推定。
o 長所:機材が小回り、コスト低、複数点で傾向を掴める。
o 短所:砂礫層や玉石混じりで過大評価の恐れ、地下水位の把握は限定的。
2. 平板載荷試験(PLT)
o 掘削底で鋼板を載せ、荷重-沈下量から地耐力(許容支持力度)を評価。
o 長所:実地盤の実測値が得られ、地業(砕石転圧)の効果確認にも有効。
o 短所:試験規模や載荷段階の設計意図の理解が必要。準備手間あり。
3. ボーリング調査(SPT併用)
o 中〜大規模。試料採取、標準貫入試験(N値)、地下水位、層序の把握に有効。
o 長所:層ごとの性状把握、支持層深度の確定。
o 短所:コスト高、点情報のため複数箇所が望ましい。
読み取りの勘所
• 層序の連続性:盛土→粘土→砂層→支持層の順序と厚さ。軟弱層の厚みが不同沈下リスクに直結。
• 地下水位:根切り時の湧水、コンクリートの品質、養生、凍上リスクに影響💧。
• N値のばらつき:同一敷地内でもムラは起きる。複数点調査の平均だけでなく最小値に注目。
• 液状化の可能性:砂地盤×高地下水位×地震動。粒度組成・締まり具合の評価を忘れずに。
調査→設計へのつなぎ方
• 基礎形式の選定:
o 表層に軟弱層が薄く、平均的にN>3〜5 → べた基礎/布基礎で対応。
o 軟弱層が厚く支持層が深い → 杭/柱状改良で支持層へ到達。
o 地下水位が高い・液状化懸念 → 砕石パイル/地盤改良+排水を検討。
• 仕様決定:
o コンクリートの設計基準強度、かぶり厚さ、防湿・止水計画、アンカー納まりに反映。
現場での“あるある”
• 調査点が少なすぎ:1〜2点では“地盤の気分”を読み違える。最低3点は欲しい。
• レポート読み飛ばし:図表だけでなく土試料写真・記録紙も確認。現場で色・臭い・触感の再確認👃。
• 設計と施工の断絶:設計意図が現場に届かず、過掘り/過転圧などで地盤を乱す。
ケース:盛土造成地の注意点🧱
• 盛土層が厚く、N値が上がらない場合は柱状改良×格子配列で不同沈下を抑制。
• 地下水位が浅いと掘削中の湧水が多発。ウェルポイントや集水井を計画。
• 粒度が粗でSWSが過大評価の恐れ→PLT併用で許容支持力度を実測。
チェックリスト ✅
☐ 調査点数・位置(通り芯基準)
☐ 地下水位と季節変動の確認
☐ 液状化・凍上の可能性評価
☐ 設計仕様への反映(Fc, かぶり, 止水)
まとめ:調査は“意思決定のためのデータ収集”
コストとリスクのバランスをとり、最悪シナリオ(不同沈下・湧水・液状化)を先回りで潰すのがプロの仕事です。次回は対策の切り札地盤改良工法を比較!🧠
追補:調査データの“読み替え”とリスク設計 🔎
• N値のばらつきは“地盤の性格”。平均ではなく最小値で基礎形式を当てはめ、部分補強(地中梁/改良)で差を吸収。
• 地下水位の季節変動は±0.3〜1.0m動く地域も。根切り時期と止水計画を季節で変える。
• 液状化簡易判定:粒度・締まり・水位・地震動。疑いがあれば砕石パイルやドレーンを検討。
• SPT試料の“臭い・色・手触り”:黒色で腐植臭→有機質土(沈下長期化)。灰白でサラサラ→洗掘注意。現場感覚を数値に重ねる。
ケース拡張:埋立地×地下水GL-0.8m
• 設計:柱状改良Φ80@1.8m格子+ベタ厚180。
• 施工:改良ミルクはW/Cと注入量を電子記録、出来形は深度ログで照合。
• 検証:平板載荷で許容支持力度を現地確認→OK。📑
調査→設計の“ギャップ”を埋めるメモ
• 設計者へ“最悪地点の写真/座標”を送ると議論が早い。
• 改良工法の比較表はコスト/m²・施工日数・騒音/汚泥・強度保証で並べる。📊
弊社では一緒に働く仲間を募集しています♪
皆さんこんにちは!
ES保信株式会社、更新担当の中西です。
家でも工場でもビルでも、「長持ちする建物」は足元の“見えない部分”がしっかりしています。基礎工事は、建物の荷重を地盤へ確実に伝え、地震や風、経年による変形から躯体を守るための最重要プロセス。ここが疎かだと、後からいくら仕上げを豪華にしても意味がありません。まずは全体像→目的→工程→失敗学→現場段取りの順で、実務に直結する視点で解説します。
基礎工事の主な目的
• 荷重の分散:柱・壁・床からの荷重を、基礎→地盤へ無理なく連続して伝える。
• 不同沈下の抑制:地盤の硬さムラによる傾き・ひび割れを防ぐ。
• 外力への抵抗:地震・風・凍上・乾燥収縮などの外力に対抗し、形を保つ。
大まかな流れ(住宅〜中規模を想定)
1. 地盤調査:土質・支持力・地下水位を把握(設計の出発点)
2. 地盤改良/杭:必要に応じて支持層まで強化・到達
3. 根切り・山留・排水:基礎の形に土を掘り、崩壊を防止
4. 地業:砕石敷均し・転圧・防湿シート・捨てコン
5. 墨出し:位置・高さ・芯を正確に記す✍️
6. 配筋・型枠:図面どおりの鉄筋と枠組みを“精度”で仕上げる
7. コンクリート打設:配合・受入・締固め・レベル管理
8. 養生・止水:温湿度管理、打継ぎと止水の健全化
9. 埋戻し・外構:排水勾配・犬走り・設備取り合いまで
“品質”の三本柱
• 設計:地盤データに基づく基礎形式・配筋・断面の妥当性。
• 施工:手順・精度・記録(写真/試験)。
• 管理:検査ポイントを外さない段取り(第三者/監理者の目)。
ケーススタディ:木造2階+ベタ基礎
• 地盤調査(SWS)でN値3〜5、地下水位はGL-1.6m。→ベタ基礎150mm+地中梁を採用。
• 雨季に着工のため排水計画を強化(集水井×2、ポンプ二重化)。
• 立上りは天端レベラーで±3mm以内を目標。アンカーは治具固定+三次元測定で“建て方ストレスゼロ”。
• 受入試験(スランプ・空気・温度・塩化物)と供試体をロットごとに採取。写真台帳は全景→中景→近接の三段で“見れば分かる”。
失敗あるあると未然防止
• 過掘り→捨てコン厚で辻褄合わせ:支持地盤を乱す恐れ。→丁張り・基準高の複数確認+オペ共有。
• かぶり不足:腐食・爆裂の原因。→スペーサー種類/ピッチの事前確認、写真で見える化。
• アンカー位置ズレ:上部構造の建て方に直撃。→治具/型枠へ一体固定と墨出しダブルチェック。
• 締固め不足:ジャンカ・コールドジョイント。→人員配置とバイブ計画、落下高管理。
現場段取りのコツ
• 天候窓を読む:梅雨・猛暑・寒波は配合・養生に反映️。
• 写真は“後で使える形”で:構造が隠れる前に全景→中景→近接。
• 近隣コミュニケーション:掘削・残土搬出・打設車の騒音と動線を先に説明。
Q&A(現場からのよくある質問)❓
• Q:布基礎とベタ基礎、どちらが安全?
A:地盤条件と上部荷重次第。ムラに強いのはベタ、点荷重が大きいなら地中梁併用を検討。
• Q:雨の日は打てる?
A:本降りは中止が原則。小雨なら受入試験重視+表面水管理で可だが、W/C上昇リスクに注意。
• Q:強度不足が出たら?
A:追加調査→設計協議。コア採取・反発度で実強度を評価し、必要なら補強・荷重制限へ。
チェックリスト(抜粋)✅
☐ 地盤調査の“最小値”で設計されているか
☐ 排水・養生の季節対策を計画したか
☐ かぶりとスペーサーの実物確認をしたか
☐ アンカー治具の固定と三次元測定計画
☐ 受入試験と供試体、写真台帳のテンプレ化
まとめ:基礎工事は“正解の積み重ね”。見えない品質を見える化し、工程ごとのキーポイントを押さえることが強い建物づくりの第一歩です。次回は出発点となる地盤調査を深掘りします!⛏️
追補:現場で“効く”運用ノウハウ集
• 意思決定の優先順位:安全 > 止水 > 構造 > 仕上げ > 工期 > コスト。迷ったらこの順に解く。
• 3点基準:測る・撮る・残す。測点は通り×距離×高さの3軸で統一し、写真ファイル名にも埋め込む(例:A-5_12.300_GL-0_配筋)。
• “可視化”の儀式:朝礼で今日の危険源3つと成功条件3つを黒板に。終礼では出来高1枚(上空写真/スケッチ)で共有。
• 工程遅延の芽切り:遅れは前日18時の資材・機械チェックで8割潰せる。生コンは車番×区画でダブルブッキングを回避。
• 近隣対策の黄金ルール:事前に“一番うるさい日”を正直に伝える。終わりに清掃+一声で体感満足度が跳ね上がる。
• 写真台帳の“勝ちパターン”:全景→中景→近接(スケール)の3枚1セット。是正前後の対写真は同じ構図で。
• ミスから学ぶ:過去案件の是正Top10を壁に貼る。新人は朝礼で1つだけ説明する係にして学習の場にする。
ミニ事例(戸建て×盛土造成地)
• 課題:造成後1年でN値ムラ。梅雨入り。
• 対応:砕石パイル+ベタ基礎+地中梁、打設前に集水井×2、ポンプ二重化。打設ブロック割を細かくしてコールドジョイントリスクを低減。
• 成果:出来形±許容内、不同沈下なし。近隣クレーム0件。
すぐ使えるチェックポイント ✅
☐ 最小値(N値/かぶり/強度)で考えているか
☐ 天気の窓を工程に織込んだか
☐ 座標と写真が後から追跡できるか
☐ 代替メニュー(止めても進む作業)を用意したか
弊社では一緒に働く仲間を募集しています♪
皆さんこんにちは!
ES保信株式会社、更新担当の中西です。
さて今回は
~不同沈下・雨・寒さに負けない!~
基礎トラブルの多くは、地盤・水・温度が原因。設計段階からリスクを見える化し、現場で先手を打つことが何よりの保険です。ここでは、地盤改良の選び方/雨天・寒中対策/擁壁・排水まで、今日から使える実務ノウハウを共有します。📘🔥
目次
表層改良:軟弱層が浅い(〜2m程度)→土に固化材混合。平屋・軽量建物向き。
柱状改良:軟弱層が厚い→地中に円柱状の改良体を造成し、支持層へ荷重伝達。
鋼管杭:地下水位が高い・支持層が深い→品質の均一性と即効性。
判断軸:支持層深さ×建物荷重×周辺条件(井戸・地下埋設)。調査データを構造計算者と一体で評価。🧠
根切り前に排水計画(集排水溝・サンプ・ポンプ)。降雨時はシート+仮土留めで崩壊防止。
捨てコンの役割:基準面の確定と防汚。泥土への鉄筋直置きはNG。
外周排水:暗渠管+砕石包み+透水シートで基礎外周を乾かす設計。
雨上がり再開判定:踏み抜き・わだちが出る含水なら再転圧。
寒中:コンクリ温度確保、保温・防風、初期凍害回避。脱型強度は数値で判断。
暑中:打設時間の前倒し、直射回避・散水養生、打継ぎ時間の短縮。
共通:受入時のスランプ・空気量・温度と打込み完了時刻を記録。
既存擁壁の健全度(クラック・天端・排水孔)を事前点検。
掘削は段階施工+仮土留ではらみを抑制。
振動・騒音は事前周知と計測で見える化。搬入ルートは安全最優先。
ジャンカ:浅いものは樹脂モルタル充填、深い場合は構造判断→はつり+再打設。
レイタンス:打継ぎ前にはつり・高圧洗浄・プライマー。
ヘアクラック:温湿度管理+表面含浸材で抑制。構造クラックは原因特定が先。
基礎断熱(内/外)と床断熱の気流止めを図面化。
**基礎パッキン(ロング)**で換気を均一化。
床下点検口近くに湿度計設置→季節ごとの写真&数値記録で予防保全。
地盤改良:工法・本数/径・改良長・保証の範囲
コンクリート:呼び強度・配合・打設回数・ポンプ台数
鉄筋:径・ピッチ・定着長・スペーサー種
養生・天候:寒中/暑中の追加対応、雨天順延の扱い
記録:試験体・写真台帳・是正報告書の提出有無
朝礼で「今日の危険3つ」を写真で共有
レベル・直角・かぶりは当日中に記録→夕方カンファでクローズ
雨予報は退避ライン時間を決定(型枠・鉄筋の防水シート常備)
不同沈下を防ぐ鍵は、地盤×水×温度の先手管理。改良工法の選定から雨・寒さ対策、擁壁・排水まで、設計と現場を一本の線でつなぎます。
弊社では一緒に働く仲間を募集しています♪
皆さんこんにちは!
ES保信株式会社、更新担当の中西です。
さて今回は
~戸建ての基礎~
建物は基礎が9割。地盤・構造・生活動線まで見据えた設計と、現場での「段取り×検査×記録」で、ひび割れ・不同沈下・結露のリスクを遠ざけます。ここでは、戸建てで採用の多いベタ基礎/布基礎を中心に、工事の全体像と品質の勘所をまとめました。✨
目次
ベタ基礎(底板一体のスラブ)
点荷重を面で受け、不同沈下に強い。防湿も取りやすく、近年は戸建ての主流。
布基礎(立上りが帯状)
軽量・コスト面の利点。地盤が良好で荷重が素直な平屋などに適するケースも。
迷ったら 地盤調査(スウェーデン式SWS等)と構造計算の前提で判断。地耐力に不安があるならベタ基礎+地盤改良が堅実。
遣り方・墨出し
通り芯・GL(基準高さ)・隅角の直角を確認。レーザーで誤差最小化。
根切り・床付け
掘削深さ・底面の締固め。雨後はポンプ排水でぬかるみゼロに。
砕石・転圧→防湿シート→捨てコン
C値(締固め度)を管理。防湿シートは重ね代100mm以上+テープ止め。
型枠組立
通り・鉛直・セパピッチを確認。面木で角欠け防止。
配筋
主筋・あばら筋・定着長さ、**かぶり厚(底板60mm目安)**をスペーサーで確保。
アンカーボルト・ホールダウン
通り芯・高さをゲージで確認。倒れ防止の仮固定を確実に。
コンクリート打設
スランプ・空気量・温度の受入検査→均し→過振動禁止→仕上げ。
養生
夏:散水・シート/冬:保温・防露。早期荷重は厳禁。
型枠解体→立上り→基礎パッキン
換気・断熱計画に合わせて納まりを確認。
埋め戻し・是正・清掃
配管周りは締固めと勾配を最終点検。
レベル(±5mm目安)、直角(対角差)、かぶり厚は実測→写真台帳に残す
コンクリ受入試験:スランプ・空気量・温度・塩化物量
試験体で圧縮強度を確認(脱型・上棟の判断にエビデンス)
撮影は「全景→部位→寸法アップ」の3点セット。是正後は同アングルで再撮が鉄則。
ジャンカ(豆板):入隅の締め不足→先行充填+軽振動
ひび割れ:温度ひび割れ対策に散水・保温養生/配合・打継ぎ管理
アンカー位置ズレ:型紙(治具)+2人確認/コンクリ硬化前の微調整を想定
基礎断熱(内/外):結露計算に基づき防湿ラインと連携
防蟻:土壌処理+立上りの物理的バリア(基礎パッキン)
防湿:土間下のシート+貫通部テーピングで気流止め
砕石厚・捨てコン厚、鉄筋径・ピッチ、ベース・立上りの寸法
アンカー/ホールダウンの本数・規格
断熱・防蟻・防湿の仕様/写真台帳・試験体の有無
残土処分・ポンプ・養生・雨天順延の取り扱い
基礎は地盤×設計×現場管理の総合格闘技。数字と記録で“当たり前の品質”を再現します。現地調査・概算見積りは無料。図面がなくても写真でご相談OKです。
弊社では一緒に働く仲間を募集しています♪
皆さんこんにちは!
ES保信株式会社、更新担当の中西です。
さて今回は
~経済的役割~
建物の寿命、強度、安全性を根底から左右する「基礎工事」は、決して派手ではないものの、建設業界における極めて重要な経済活動の一つです。住宅から商業施設、高層ビル、橋梁、インフラ施設まで、すべての構造物は地盤に確実に支えられた基礎がなければ成立しません。
目次
基礎工事は、あらゆる建設プロジェクトにおける“最初の工程”であり、着工から経済活動を始動させる役割を担っています。
建設予定地の地盤調査と整地に始まり
杭打ち・掘削・コンクリート打設など多段階の作業を通じて
地上構造物の工期・品質・安全性を左右する重要な前提条件を形成
これにより、基礎工事が着実に完了することで、以降の建設作業に波及的に雇用・資材需要・設備導入などの経済活動が生まれるのです。つまり、基礎工事は「地中の工事」であると同時に、「地上の経済」をスタートさせる引き金でもあります。
基礎工事は単体では成立せず、多くの業種・業者と連携して進められます。
関連分野 | 経済的つながり |
---|---|
地盤調査会社 | ボーリング調査、地耐力検査の委託 |
コンクリート関連業者 | 生コンプラント・ミキサー車の稼働 |
型枠業者・鉄筋業者 | 材料供給と加工技術の需要創出 |
建設機械レンタル業 | 掘削機・杭打機・クレーンなどの稼働率向上 |
建設資材商社 | セメント・鋼材・断熱材などの流通促進 |
このように、基礎工事は広範な周辺産業と連動しながら経済循環を生み出す、ハブ的存在となっています。工期の長短に関わらず、常に多くのプレイヤーを経済活動へと巻き込む力を持っているのです。
基礎工事は、土木・建築の両分野にまたがる専門性が高い工程であり、各地域で安定した雇用の場を提供する産業でもあります。
掘削作業員、重機オペレーター、型枠大工、鉄筋工などの職能職人
現場監督、施工管理者、測量士、配筋検査員などの技術系スタッフ
若年層への技術継承や技能実習生の受け入れによる人材育成
とくに地方では、住宅・倉庫・店舗などの小中規模の基礎工事が地元業者の主要な収入源となっており、地域に根付いた技能者の雇用を守る経済的柱となっています。
日本は地震・台風・豪雨など自然災害の多い国であり、基礎の堅牢性が建物の倒壊・沈下・液状化を防ぐ第一防衛線になります。
耐震基礎による人的・物的被害の抑制
液状化対策によるインフラ維持
災害後の建物解体・再建費用の削減
これらはすべて、基礎工事の精度と適切な設計・施工によって実現されるものであり、ひとたび災害が起きれば、数十億〜数百億円単位の経済損失を回避する防波堤にもなります。
都市の再開発や郊外の宅地造成、公共施設の新築・改修など、地域を活性化させる大規模プロジェクトにも基礎工事は必須です。
商業施設・病院・学校などの公共性の高い施設の整備
道路拡幅や橋梁建設に伴う基礎インフラの整備
空き地活用や土地再生事業での地盤改良ニーズ
こうしたプロジェクトは、地価上昇・固定資産税の増収・地元雇用の増加など、地域経済への好影響をもたらし、基礎工事はその“ゼロ地点”として不可欠な存在となります。
基礎工事においても、低炭素・省エネ化が進み、環境型経済と技術革新の融合による新たな経済活動の源泉となりつつあります。
セメント製造のCO₂削減技術(グリーンコンクリート)の導入
地中熱利用の基礎一体型設備
廃棄物の再資源化と産廃コストの抑制
高精度な施工によるメンテナンス・ライフサイクルコストの低減
これらにより、基礎工事は「初期費用」で終わるのではなく、**建物の経済的な価値・寿命・環境対応力にまで長期的に影響を与える“投資価値の高い分野”**となっているのです。
目に見えない地中で行われる基礎工事は、単なる土木作業ではありません。それは、あらゆる経済活動を下から支えるインフラそのものであり、地域に雇用と価値を生み出す経済装置でもあります。
一軒の住宅も、巨大な都市再開発も、その起点には必ず基礎工事があり、その“確かさ”が全体の安定と発展に寄与しているのです。
「経済は地中から始まる」――それが、現代社会における基礎工事の真の意義ではないでしょうか。
弊社では一緒に働く仲間を募集しています♪
皆さんこんにちは!
ES保信株式会社、更新担当の中西です。
さて今回は
~多様化~
建物の安全性と耐久性を根本から支える「基礎工事」は、すべての建築物の“始まりの工程”です。かつては地盤を掘削し、コンクリートを打設するという単純なイメージがあったかもしれません。しかし、近年の建築ニーズ、技術革新、社会背景の変化により、基礎工事は急速に多様化し、専門性の高い分野へと進化しています。
目次
日本は地形・地盤条件が多様な国であり、それに対応する基礎構造も年々細分化されています。
直接基礎:住宅や中低層建物に多い布基礎・ベタ基礎
杭基礎:軟弱地盤や高層ビルに使われる場所打ち杭・既製杭
深礎基礎:橋梁・擁壁などで地中深く掘り下げる特殊基礎
免震基礎:地震対策のために免震装置を組み込む基礎構造
地盤改良基礎:セメント系固化材や鋼管杭で支持力を確保
これらは、地盤の特性だけでなく、建物の用途、予算、工期、将来の増改築の可否などを考慮して選ばれるようになっており、基礎工事業者には柔軟な判断力と技術の選択が求められています。
従来の掘削・捨てコン・鉄筋・型枠・打設といった流れだけでなく、さまざまな地中構造に対応する工法の選択肢が広がっています。
アースドリル工法:硬質地盤への杭打設に対応
柱状改良・表層改良:宅地造成や田畑の転用地に対応
場所打ち杭の逆打ち施工:都市型再開発に適した方法
鋼管杭工法:低騒音・低振動が求められる現場に対応
フレキシブル基礎システム:液状化対策や繰り返し地震に耐える技術
こうした工法の多様化により、基礎工事は単なる“穴掘りと打設”から“設計と施工を融合した専門工事”へと進化しています。
近年の建築物は、住宅だけでなく、商業施設・物流センター・データセンター・農業施設・コンテナハウスなど多岐にわたり、求められる基礎仕様もバラエティ豊かになっています。
省スペースでの施工対応
短工期要求への即応
仮設・可動性を持った構造への対応
将来の再開発を見据えた可逆的施工
狭小地・傾斜地・埋立地など困難地形への対応力
このように、基礎工事業者は、地盤だけでなく建物のライフスタイル・用途・社会的要請を総合的に読み取りながら対応する時代に入っています。
デジタル技術の進展は、基礎工事の現場にも革新をもたらしています。
地盤調査データの3D解析と設計連動
BIM/CIMとの連携による干渉回避
トータルステーションやドローンによる位置出しと記録
打設時のコンクリート品質・圧送圧力のデジタル監視
AIによる地盤診断のサポート
これにより、設計者と現場施工者、監督者がリアルタイムに情報を共有しながら最適な基礎構築が可能となり、多様な条件への精度ある対応が実現されています。
地中構造物もまた、環境との共存が求められる時代。基礎工事においても以下のような環境対応の多様化が進んでいます。
低炭素型コンクリートの採用
打設圧送時の排水・騒音・振動の最小化
建物解体時の基礎撤去性(リユース設計)
地下熱利用の配管を基礎と一体化
地下空間の再利用を前提とした基礎構造
これにより、基礎工事は単に「建てる」ための作業から、持続可能な建築社会を構築するための重要工程へと位置づけられつつあります。
私たちの目に触れにくい地中において、基礎工事は今、驚くほどの進化と多様化を遂げています。地盤の性質、建物の用途、工期、環境対応、ICT活用──これらすべてを見極めながら、最適な基礎を築くのが、現代の基礎工事業者の使命です。
地中にあるからこそ忘れられがちな基礎工事ですが、その多様性こそが建物の信頼性を支え、現代社会の安全と快適を根底から支えているのです。
弊社では一緒に働く仲間を募集しています♪
皆さんこんにちは!
ES保信株式会社、更新担当の中西です。
さて今回は
~地盤トラブル~
ということで、基礎工事における代表的な地盤トラブルを解説し、その原因や防止策を分かりやすくご紹介します。
家づくりで最も大切なのは、見えない部分である「地盤と基礎」です。しかしこの“見えない部分”こそ、後から深刻な問題が発覚しやすい落とし穴でもあります。
目次
症状:床が傾く/ドアが閉まらない/外壁に斜めの亀裂が入る
主な原因
地盤の支持力が不均一
軟弱な地層や埋戻し土が混在
地盤調査不足による設計ミス
防止策
スウェーデン式サウンディング試験やボーリング調査を施工前に実施
改良工法(柱状改良・鋼管杭など)を導入する
症状:地震後、地面が沈下/水が噴き出す/基礎が持ち上がる
主な原因
砂質地盤で地下水位が高い地域
十分な締固めがされていない盛土
防止策
液状化リスクのある地域では杭基礎や地盤改良の検討を
表層改良+ベタ基礎による対応も有効
症状:宅地の一部が沈む/擁壁の亀裂/排水トラブル
主な原因
盛土が十分に締固められていない
地盤の層構成が複雑で、均一な支持が得られない
防止策
造成時の地盤履歴を確認
地盤保証付きの調査・施工を行う
症状:施工後数年での沈下や構造クラック
主な原因:
改良深度不足/固化材の混合不良/設計荷重の誤差
防止策
改良計画に基づいた施工管理・試験結果の記録を残す
経験豊富な地盤改良専門業者を選ぶ
✅ 地盤調査は必ず「数カ所」で実施しているか
✅ 地盤改良工事に保証制度があるか
✅ 地盤の構成(地質図・ハザードマップ)を確認したか
✅ 工事記録や材料強度データを保管しているか
地盤トラブルは、建築後数年してから静かに顕在化することが多く、修復には大きな費用と手間がかかります。だからこそ、着工前の地盤調査・正確な設計・確実な施工が極めて重要です。
弊社では一緒に働く仲間を募集しています♪
皆さんこんにちは!
ES保信株式会社、更新担当の中西です。
さて今回は
~工事の技法~
ということで、代表的な地盤の種類に応じた基礎工事の技法と、それぞれの特徴や適用条件について詳しく解説します。
住宅や建築物の安定性・耐震性は、すべて「基礎工事」によって決まると言っても過言ではありません。しかし、基礎工事は“どのような地盤に建てるか”によって大きく工法が異なります。
目次
地盤が締まっており沈下リスクが小さい
表層に砂礫層、粘土層、ローム層などが存在
ベタ基礎(鉄筋コンクリートで一面を覆う)
地盤全体に力を分散しやすい
防湿性も高く、白アリ対策にも有効
布基礎(壁下に連続して基礎を配置)
軽量木造住宅に多く使用される
コストを抑えられるが、不同沈下にやや弱い
粘性土、埋め戻し土、地下水位がやや高いなど
自重による沈下の懸念がある
表層改良工法
セメント系固化材を混ぜて表層を固める(深さ2m程度まで)
コストを抑えつつ地盤を補強できる
ベタ基礎+防湿シート
地盤の沈下を抑えるとともに湿気対策も実施
粘性土、シルト、軟弱な埋立層
沈下・傾斜のリスクが非常に高い
柱状改良工法
地中にコラム状の固化体を作って建物の荷重を支える(3〜8m)
一般的な住宅でも多く採用される
鋼管杭工法
支持層まで鋼管杭を打ち込み、杭で建物を支える
高コストだが、支持力と耐久性に優れる
地下水位が高い地域に適する
小口径鋼管杭(摩擦杭)
自沈を利用した摩擦抵抗で支える
周辺建物への影響が少ないため都市部で活躍
基礎工事の工法選定には、事前の地盤調査が不可欠です。代表的な調査方法には:
スウェーデン式サウンディング試験(SWS)
ボーリング調査(標準貫入試験)
があります。特に軟弱地盤が疑われる場合、地層ごとの支持力や地下水位の確認は極めて重要です。
どれほど立派な設計の建物も、不適切な基礎工法では安定しません。地盤ごとの性質を正しく見極め、それに適した工法を選ぶことが、安心・安全な住まいの第一歩となります。
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皆さんこんにちは!
ES保信株式会社、更新担当の中西です。
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前回は基礎工事と環境の関係についてお話ししましたが、今回は視点を未来に移して、「これからの基礎工事はどう変わるのか?」をテーマにお届けします。
AIやIoTといったテクノロジーの進化、人口減少による人手不足、そして地球環境への意識の高まり…。これらすべてが、基礎工事の現場にも確実に影響を及ぼし始めています。
最近の土木・建設業界では、「ICT施工(情報化施工)」というキーワードが頻繁に使われています。
これは、ドローンや3Dスキャナー、GPS、ICT重機などを使って、施工前・施工中・施工後のすべてをデジタルで可視化・共有・管理する方法です。
特に基礎工事では、
掘削深度や精度の自動制御
鉄筋配置の3Dチェック
施工記録のデータ保存・共有
などが可能となり、「人が見えない部分」を正確に管理できるようになることで、施工品質の向上とトラブル削減に直結します。
建設業界の最大の課題ともいえる「人手不足」。
とくに重労働で専門性の高い基礎工事では、若手の担い手が減少しつつあります。
その対策として期待されているのが、
自動掘削ロボット
AI搭載の建設機械
ARを使った現場指示
などの省人化・自動化技術です。
完全に無人化するのはまだ先かもしれませんが、「少人数で高精度な施工ができる」仕組みは、間違いなく未来の標準になります。
地球温暖化対策の一環として、建設業界でも「脱炭素」が求められています。
基礎工事も例外ではありません。
将来のトレンドとして注目されているのは、
CO₂を吸収する特殊コンクリート
再生骨材を活用した基礎材
現場での再利用を前提とした型枠設計
など、材料選びや設計段階から環境負荷を減らす取り組みが進んでいます。
国や自治体の補助制度も整ってきており、「サステナブルな基礎づくり」が加速していくでしょう。
未来の基礎工事現場では、「人の勘」よりも「データに基づく判断」が主流になります。
現場カメラで自動記録
タブレットで施工図面を即確認
センサーでコンクリートの硬化をリアルタイム監視
天候や地盤の変化をAIが予測し、工程を自動調整
こうしたスマート施工管理により、無駄なやり直しや工程遅れが減り、品質も安全性も大幅に向上する未来がやってきます。
技術や材料がどれだけ進化しても、現場を管理し、トラブルを未然に防ぐ人の力は今後も不可欠です。
だからこそ、これからの基礎工事のプロには、
テクノロジーへの理解
環境・法令への対応力
地域とのコミュニケーション能力
など、「現場をマネジメントする総合力」が求められてきます。
“ただの工事”ではなく、“社会の基盤をつくる”という意識が、これからの基礎工事人材には欠かせない時代です。
見えない部分だからこそ、そこに最新技術と深い配慮を込める時代がやってきています。
未来の建設業は、「丈夫で早い」だけでなく、「賢く、持続可能で、地域に愛される」がキーワードになっていくでしょう。
次の世代につながる街づくり。その出発点となる「基礎工事」は、これからますます進化していきます!
次回もお楽しみに!
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皆さんこんにちは!
ES保信株式会社、更新担当の中西です。
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今回は、普段なかなか表に出ない「基礎工事」と「環境」の関係について、じっくりお話ししていきます。
基礎工事は、建物の土台を支える最も重要な工程のひとつ。でも実は、それが“環境に優しいかどうか”という視点も、近年とても注目されているんです。
基礎工事とは、建物の重みを地盤にしっかりと伝えるための土台をつくる工事のこと。
建物がどれだけ立派でも、その下の地盤や基礎が不安定であれば、倒壊や沈下の原因になってしまいます。
一般的な基礎工法には、以下のような種類があります:
ベタ基礎(全面に鉄筋コンクリートを打設)
布基礎(建物の壁下に沿って連続的に基礎をつくる)
杭基礎(地盤が弱い場合に杭を深く打ち込んで支える)
この基礎づくりがどのように「環境」と関わっているのでしょうか?次にそのポイントを見ていきましょう。
基礎工事では、地面を掘削したり、コンクリートを打ったりといった作業が必要です。
これにより、土壌の構造が変わるほか、地下水の流れが変化したり、濁った水が流出するリスクもあります。
とくに都市部や河川沿いでは、こうした影響が近隣環境に波及しないよう、掘削土の適切な管理や、濁水処理の徹底が求められています。
基礎工事では、大量の「掘削土(建設発生土)」が発生します。
これをそのまま廃棄するのではなく、**再利用(盛土材や埋戻し材)**として活用することで、環境負荷を減らすことができます。
また、型枠やコンクリート打設に使用する資材の中には、一度限りで廃棄されるものもあるため、こうした建設副産物のリサイクルも、今後の環境配慮のカギとなっています。
意外に知られていませんが、コンクリートの製造過程では大量のCO₂が発生します。
セメント1トンをつくるのに、約0.8トンのCO₂が出るとも言われています。
そのため近年では、
エコセメント
高炉スラグ入りコンクリート
炭素吸収型コンクリート
など、環境負荷の少ない材料の使用が推奨されてきています。基礎工事の材料選定ひとつ取っても、実は環境配慮が求められる時代なのです。
基礎工事では、掘削機やクレーン車など、多くの建設重機を使用します。
これらの重機が使う燃料は主に軽油であり、当然ながら温室効果ガス(CO₂)排出の要因となっています。
そこで注目されているのが、
ハイブリッド重機
電動掘削機
アイドリングストップ技術
など、省エネ技術の導入です。重機メーカーも環境対応型モデルを続々と開発しており、基礎工事の現場でも少しずつ導入が始まっています。
環境といえば自然だけでなく、地域住民への配慮も含まれます。
基礎工事では掘削や杭打ちなどで大きな振動や騒音が出やすいため、
防音パネルの設置
粉じん飛散防止の散水
低騒音型の重機使用
といった工夫が、現場レベルで求められています。地域と共存できる工事体制が、環境配慮の第一歩とも言えるでしょう。
表に出にくい工事だからこそ、環境への意識を持って取り組むことが、これからの建設業界には不可欠です。
未来の街づくりの“足元”を支える存在として、基礎工事はまさに“縁の下の力持ち”ですね。
次回は、そうした基礎工事が**未来に向けてどんな変化を遂げていくのか?**を詳しくご紹介します!
次回もお楽しみに!
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